HIS研究発表会 2003年秋

in別府(主幹:岩永レディスクリニック

発表者 小笠原 真紀

共同研究者 榎 美千代、上野 亞津沙

こんにちは。ごきそレディスクリニックの看護師小笠原です。
今日ははげましあっておっぱいの会での、お母さんたちの笑顔を紹介したくて名古屋から参りました。
はげましあっておっぱいの会は、言葉のとおり、皆ではげまし合いながらおっぱいを飲ませる会です。
WHOユニセフの『母乳育児を成功させるための10か条』があります。

その10番目の、支援グループの援助と紹介に基づいています。

 

また、土曜日の外来中に、スタッフが少ないところにバラバラ受診される、おっぱい相談のママ達が多かった事から始められました。

私は入社時におっぱい現役ママでした。その経験がリーダーにふさわしいと院長に任命され、第二子出産後から続けています。
その子供たちも、現在小学校一年生と年中になりました。これが私の宝物です。
おっぱいの会では、もちろん授乳指導もしますが、ポジショニングや簡単なトラブルはママ同士で解決策を提案しあっています。

生後6ヶ月までですが、我が子の成長を確認したり、皆同じ悩みを抱えている事に共感しあったりしながら楽しくおっぱいを飲ませています。

私が子育てをしながら仕事をがんばれているのも、この様なママたちの側にいられたからだと思っています。
参加者は最高26組。おっぱいの会卒業生のお兄ちゃん・お姉ちゃんも弟や妹のお供として参加し、大騒ぎです。

おっぱいの会参加者にアンケートを集めましたのでママたちの声をお聞きください。
先ず対象者です。表の如く1999年1月開始から本年8月30日までの605組に手紙を送りました。有効解答率31%です。参加者は延べ2680名になります。
参加理由です。おっぱいはなかなか評価されにくく、体重を測ってみたい、安心したいと言うママが多いようです。おしゃべりしたい・赤ちゃんを連れて出かけたいと言う気持ちも強いです。
参加してよかったこととしては、参加した結果悩みが解消した。赤ちゃんの体重が増えていて、おっぱいに自信がもてた。同じ悩みを持つ仲間に癒されたと言う事が読み取れます。おっぱいを飲ませながら、月齢の違うママ同士、良い雰囲気で情報交換をしています。
不満な事です。時間や曜日が合わなかった・リーダーとあまり話が出来なかったなどがあがっています。これはスタッフにおっぱい現役ママが増えた事で解消されそうです。
おっぱい生活の支えとして、赤ちゃんが選ばれるのは当然ですが、夫をはじめ身内に続き、友達が高得点を挙げています。共感しあえる仲間は大切だと感じました
おっぱいだけでは不安になった時の理由です。赤ちゃんが頻繁におっぱいを欲しがる時・体重の増えが悪い時などが上がっています。
6ヶ月までに約9割のママが不安をいだきます。この時期は赤ちゃんがもっと大きくなりたい時期です。欲しがるときに好きなだけ。この時期までのサポートが重要だと思われます。
 
ママ達は、行政へも仲間作りの場の提供と正しい母乳育児情報の啓蒙を希望しています。
このグラフをご覧下さい。おっぱいの会の開始から1ヶ月検診の授乳率は確実に上がっています。ちなみに離乳食開始の6ヶ月までの完全母乳率は先月97%です。
入院中は病院のスタッフに守られていたママ達も、一旦世間に出ると、おっぱいだけでなく、ミルクも必要と言われます。そこで週1回ママ達に自信を取り戻してもらうのがこの会の仕事です。
私が、同じ問題を乗り越えた少しだけ先輩のママを紹介します。
「大丈夫よ。」「がんばってるね。」「おっぱいだけでこんなに大きくなって」ほんの少しの声かけでママの笑顔が変わります。エモーショナルサポートです。
これからも母性育成のためのサポートとして「はげましあっておっぱいの会」でママ達にエモーショナルサポートを続けていきたいと思います。
最後にママからのお手紙を紹介します。
 
『こうたより後で生まれた子が、どんどん体重が増えていったり、他のママの母乳量が100gを超えているのを見ると、羨ましくて「どうしておっぱいの会に来る必要があるの〜」と思ったりしました。でも、何回も顔をあわせていくうち、逆にその子の成長ぶりが楽しみになりました。産まれたての赤ちゃんが毎回増えていくのも、こうたの成長を感じる良い機会だったように思います。』