HIS研究発表会 2002年春

in熊本(主幹:福田病院

テーマ『21世紀の病院サービス〜うちの病院ここが自慢!!』

サブテーマ『ママとあかちゃんにやさしいフレンドリークリニックとして医療を提供し続けて得られたこと』

発表者:森下つね子

共同研究者:石田智鶴、木村有里

こんにちは。
ごきそレディスクリニックの看護師森下です。
HIS研究会に本年度から仲間になりました。よろしくお願いします。


当院の自慢は、ママの赤ちゃんを見つめる優しいまなざしと、一生懸命おっぱいを飲んで幸せそうにママにくっついている赤ちゃんです。

ママとボンディング中の赤ちゃんです。生まれいずる時のノルアドレナリンの興奮が、ママの体温と聞きなれた心臓の拍動のリズムで癒され、安心しきっています。
ママも赤ちゃんの心地よい重みと温かさ、そして赤ちゃん吐息に出産の疲れが癒され、誇らしげな満足感とかわります。
このボンディングの時間を大切にすることであとの母乳への取り組むが変わってきます。
プロラクチンは皆さんご承知のように乳汁分泌ホルモンであり愛情形成ホルモンです。赤ちゃんを
おっぱいから放すとせっかく分娩の末期ピークに達したプロラクチン値が下がってしまいます。
もう一度赤ちゃんをママの元に連れて行っておっぱいを吸わせてもプロラクチン値は回復しにくくなります。ママと赤ちゃんの最初の段階でどうぞ計測、沐浴と言うルチン業務の中でママと
赤ちゃんを放さないで下さい。
私たちの仕事は出産の介助も含めてママに添って励ましていくことです。
この時間もしっかりお部屋を温かくして、優しい声かけ、はげまし、注意深い観察が必要です。
 訪室回数も多くなりますので母子の変化のチェックができます。
今見ていただいている画面が
ボンディング中の赤ちゃんがママのおっぱいまで到達する過程です。当院では産褥2時間の間
すなわち赤ちゃんの覚醒時間中はママと赤ちゃんは一緒です。
 11月12日生まれの二胡ちゃんはちょうど出産後65分でおっぱいに到達することができました。
この大きなお口と、この時のラッチオン(吸い付き方)が大切です。
 
最初に赤ちゃんがやって見せた大きなお口と乳頭への角度を赤ちゃんは忘れません。無理にママのおっぱいに加えさせると、角度を違って覚えてしまい修正が大変です。ここは忍耐と愛情が必要です。
始めのしつけですね。
WHO。ユニセフの10か条には30分以内に赤ちゃんに、おっぱいを吸わせましょう。とありますが、なかなか待っていると30分は軽く超えてしまいます。アメリカ小児学会ではこれを1時間と延長しています。
分娩がラッシュの時はこの出会いの2時間のキープは大変ですがストレッチャーでボンディングのまま部屋移動をお願いしたりして、何かとこだわり続けています。ママの体と脳を育児向けに教育しているのが円らな瞳の赤ちゃんです。

私達ごきそレディスクリニックのスタッフの自慢は全員がこの手助けを得意としている事です。一か条にあるように、当院の全ての職員が、この本2冊を全員読んでいます。
 全ての処置はママと赤ちゃんの授乳が優先です。エモーショナルサポートに自信をもってやっています。
昨年のクリスマス会のアンケート結果です。
経産婦さんたちに当院をリピターとして利用してくださった一番の理由に母乳育児支援とでました。
又、ご退院時のアンケートでも最初はクリニックの可愛さとかお食事が選択肢だったけれど、外来通院やお教室に参加して、また実際赤ちゃんと一週間ハネムーンをして一番嬉しかったこのは母乳育児支援とあります。スタッフ一同誇らしく思っています。

 保健所の母親教室でのアンケートを摂ると90%以上のママが母乳育児を望んでいます。でも実際の
数字は1ヶ月で30%ぐらいです。
当院での1ヶ月検診の母乳率は87%です。
どうすれば母乳率を上げることができるのでしょうか。グラフをご覧下さい。産前教育で母乳確立の差がこんなに違います。
出生順位を重ねるごとに母乳率は上がりますが、グラフの緑の部分をご覧下さい。ここに産前教育を加えることによって飛躍的に延びます。
この表は、日母研修ノートの平成14年3月号よりの抜粋です。沢山の施設で取り組んでいただけたらうれしいです。
当院では産前教育でプレママクラスとおっぱいクラスで何回もおっぱいのすばらしさを伝えています。
マッサージなし。基低部をはがすためにはブラジャーをはずしてお散歩や家事を進めています。良い乳頭の刺激にもなります。後は乳管開通です。これは36週以降のNSTのおり、繰り返し外来スタッフがみえています。とても簡単なので誰でもどこでも取り組めます。難しい技術はいりません。赤ちゃんが元気なら何もいりません。
ママ同士の励ましあいも大切です。入院中のお茶会、退院後は「はげましあっておっぱいの会」「インファンとマッサージ」等で、ママ同士の交流をサポートしています。
新生児黄疸のために母子分離にならないようビリベッドも使用しています。
頻回母乳でもやはり小さ目の赤ちゃんには、黄疸に対する注意が必要です。
最後に6日目までにおっぱいの立ち上がらなかったママと赤ちゃんには産褥ケアーのサービスを設けています。産褥ケアーを平均6日間することで出生時体重が2500g以下の赤ちゃんも1ヶ月検診の母乳率は100%です。その後6ヶ月でも楽しく飲ませ続けています。